レポート・現地情報

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岩手県大船渡市によるキャッシュ・フォー・ワーク(1) がれき撤去での雇用

「がれき撤去」で、市民に雇用をいち早く!

大船渡市役所

浸水もなくほとんど無傷の大船渡市役所(大船渡市提供)

キャッシュ・フォー・ワークに関して、大船渡市役所の話はかねがねから聞いてみたいと思っていました。というのも、大船渡市のCFWの取り組みが極めて迅速だったからです。4月14日には「がれき撤去500人雇用」(岩手日報)「被災者500人雇用へ:がれき撤去業者にあっせん」(東海新報)など、がれき撤去や分別作業に被災者を雇用する対策を市町村レベルでいち早く表明していました。

なぜ、そのような迅速な対応が可能だったのか。市役所を訪問してお話を伺う前から、その理由の一つがわかりました。大船渡市役所は高台に位置しており、本庁は津波の被害をまったく受けていませんでした。ライフラインの制約はあったにせよ、行政機能が一定程度維持できたこと抜きに、大船渡市の対策を語ることはできないでしょう。

「復興には雇用が重要」―50年前の経験を活かして

この事業の正式名称は「大船渡市東日本大震災被災者支援事業(がれき撤去)」。あくまで被災者支援が目的です。地震直後からこの事業に取り組んだ、総務部総務課の佐藤雅俊課長補佐に話を伺いました。もともと、この事業は震災発生当時の紀室輝雄副市長の強い意向で実施されたそうです。というのも、大船渡市は昭和35年のチリ津波でも被災しており、副市長は当時の震災復興を経験していたことから、復興の大変さと、その局面で雇用を生み出すことが重要だという認識を持っておられたそうです。今回の震災でも、地震発生から10日目に市役所内に復興局という組織を立ち上げ、人事配置を行うなど、すばやい対応が行われたのはそのためです。

行政×地元業者の効率的な連携プレー

大船渡市役所

がれき撤去作業に従事される方々(大船渡市提供)

 幸い、市内には津波の被害を免れ、すぐに動ける建設業者も少なくなかったということで、地元の業者に清掃やがれき撤去を委託し、そこに被災者を雇用してもらうという方法を採用しました。具体的には、大船渡市と地元の建設業協会とで雇用条件などについて協議して決定します。募集は大船渡市がハローワークを通じて行い、求職者からの申し込みを受け付け、名簿を作成します。その作成された名簿から、実際に雇用する人材を建設業者が決定するという方式です。これによって雇用条件が統一されると同時に、業者にとっては個別に採用活動を行う必要もないので、緊急時の方法としては大変効率的だと感じました。ちなみに賃金は7200円。市の臨時職員の水準と同一だそうです。


 

500人の枠に対して、実際に雇用したのは約200人


 4月末からこの事業は開始されましたが、500人の応募枠に対して、約300人の応募しかありませんでした。市の防災無線や職業安定所での掲示など、当時は広報手段も限られていたことがその理由です。その後、口コミなどもあって、6月末の時点では502人の応募があったそうで、その意味では被災された方々にとって、緊急的な就労ニーズは確かに存在したことが伺えます。
但し、すべての応募者が実際に就労したわけではありません。6月末時点での採用者数は166名、9月の時点ではおよそ200名の雇用に留まっています。これは、漁協を通じて募集があった漁港の清掃事業に採用された方や、失業給付の受給を受けられなくなるといった理由で、採用を辞退された方が145名、また大船渡市を離れたなどの理由で連絡が不通になった方が156名いるということです。

そうしたこともあり、当初は直接的に被災した失業者に事業の対象を限定していましたが、8月半ばごろからは、自宅の被災程度に関わらず、すべての失業者を対象として事業を実施しています。また、地元の建設業者は現在非常に多忙となっており、少しでも多くの人材を早く確保したいという状況です。そこで、この事業は9月末で終了し、個々の建設業者が直接職業安定所を通じて採用活動ができるようにするということでした。

早期の雇用創出は、市民の「安心」にも


大船渡市のがれき撤去は、行政が直接関与したキャッシュ・フォー・ワークの典型事例として、学ぶべきところが少なくないと思います。筆者は、がれき撤去などの肉体労働では雇用創出効果は限定的にならざるを得ないと考えていましたが、それでも、大船渡市だけで約200人の雇用が生まれたことには正直なところ驚きました。何よりも、国や県の方針を待たず、早期にこうした雇用機会を市民に提供したことは、被災された方々にとって心強かったのではないかと思いますし、そのことが約200人という雇用実績につながったのではないかと思います。



 

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