レポート・現地情報

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宮城県北上町十三浜の「漁協復興プロジェクト」 
「まずは事業を再開し、仕事を始めることが大事」

コンサルティング事務所代表 梅本優香里

 震災により大きな被害を受け、またその今後が地域の産業復興や雇用改善を左右すると見られている漁業。漁港の地盤沈下や建築計画の遅れ、「水産業復興特区」構想を巡る県と漁協の対立に揺れ、復興の遅れが指摘されている宮城県において、再開に向けて歩を進めている地域があります。

漁業を続けたい。その想いに、再開の道筋を

宮城県石巻市北部の北上町。石巻市内から向かう道路はまだ完全に復旧しておらず、迂回路や片道工事中の道を北上する。応急的に設置され地上に露出している水道管や、車窓から見える半壊した家々や積まれた瓦礫は、津波の傷跡を残している。このあたりは平地がほとんどない。海のすぐ側に山が切り立つ地形だ。


宮城県漁協十三浜支所運営委員会委員長である
佐藤清吾さん(左から2番目)

宮城県の漁協の連合体のひとつである十三浜支所運営委員会の委員長、佐藤清吾さんを訪ねた。佐藤さん自身も被災し、今は仮設住宅におひとりで暮らしている。部屋に入ると、仏壇に置かれたご家族の写真が目に入った。
 
組合員は約300人。震災後の5月初めに全員を対象にアンケートをとったところ、約2割が廃業したいと答えた。「言い換えれば、続けたい人が8割いるわけです。この人たちのための再開の道筋が必要だと思った。」
 
漁船漁業の石巻港と違い、このあたりは養殖が中心だ。いかだ、ロープといった養殖資材や加工場は甚大な被害を受けた。しかし、三陸わかめ、あわびといった付加価値が高くブランド力のある商品を出荷してきており、顧客からすると他地域の漁場では代替が難しいため、販路は確保できる。養殖から加工までを各漁師が一気貫通に行う家内産業であるため、出荷にあたって加工工場等他の事業者の復興を待つ必要はない。海中の瓦礫撤去は8月末に終了する。資材さえ入手できれば再開は可能だ。
 
例年、10月末からはわかめ、11月からはあわびの採捕が始まる。秋のシーズンを逃すと、来年の収入までもが見込めなくなってしまう。そうなってしまうと続けたいと答えた8割の人も持ちこたえることができないだろう。

 

たとえ小さくとも、まずは「売り上げを確保する」ことが大事

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北上町の人々が暮らす仮設住宅

 そこで組合として、震災で失われた資材を、組合員が手にできる方法を作った。図面を書き、国・県と交渉した。いかだと130mのロープを、組合員あたり20ずつ配れるようにした。海運会社に依頼して3,600のアンカーブロックを配置。集落ごとに簡易加工場も作る。
 
「もともと養殖は個人商店。漁師が自分のノウハウを元に仕掛け、加工してきたから、みなと同じ網で共同作業所というのは、期待する収量が得られなかったり、やり方に不満がでたりと不協和音は生じると思う。ただ、大事なのはできるところから始めて、段階を踏んで増やしていくことだとわりきった。売上を手にできれば次への設備投資が可能になり、自分の網も持てるようになる。」
 
震災後各地で行われている雇用創出事業にも共通するが、まず立ち上げて、最初の売上を手にすることが大事なのだ。これまでのやり方にこだわらず、初期投資を抑え、小さくてもいいから売上げを確保し、それを投資しながら規模を拡大する。
 
準備が進み、10月末のわかめから再開できそうな見込みがついた。2月以降、わかめの収入が入るだろう。例年より低いだろうが、収入を得られれば、廃業せずに済み、町をでていかずに済む。
 
「なによりまず仕事を回復させないと。家を建て直すより、仕事・収入の確立が先なんです。仕事があれば、人は残る。」

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