レポート・現地情報

レポート・現地情報

三陸に仕事を!プロジェクト「浜のミサンガ・環」レポート
“自立するための仕事”の理想像

 月収20万円以上も可能な“生活の支え”となり得る仕事。

震災の影響で大量に余った漁網を活かして
作ります。(写真は「三陸に仕事を!プロジェクト」
サイトより)

津波で船が流され、余った大量の漁網。これらを活かして「環」は作られています。初心者にも作りやすい毛糸だけで編む細いミサンガとの2本セットで、販売価格は1,100円。9月までの生産・販売数が3万セット以上なので、売り上げは実に3,300万円以上。

売上のうち、作り手の収入となるのは1商品につき576円。間に入り素材を加工している工場には20円程度、生産管理者・販売者には110円程度が入ります。素材加工も生産管理も現地で行い、また、材料も現地にある漁網を使うことで、極力地元にお金がまわるよう考慮。250人にのぼる被災者が月平均7万円以上を手にされています。

1本のミサンガの最短制作時間は30分程度。1日15個以上制作することも可能で、結果月収20万以上の方も出ています。これは賞賛に値するプロジェクトでしょう。

始まりは、ひとりのお婆ちゃんを助けたい一心から。

「浜のミサンガ・環」の代表、雫石吉隆氏。

このプロジェクトの代表でもある雫石氏は広告業界に所属。被災地で炊き出しを行う「三陸いわて復興食堂」なども手がけており、いわゆる実のある支援を多々行っていらっしゃいます。

彼は被災地をまわっている時にひとりの“お婆ちゃん”に出会いました。70代の彼女は元々牡蠣をむく仕事をしており、その牡蠣を取っていた息子さんともども被災、避難所生活を強いられておりました。そこでも彼女は朝から晩まで皆の世話をして一生懸命、何かしていないと落ち着かない典型的な漁業の町の女性なのでしょう。
朝早くから夜遅くまで仕事をして体を動かす事を生き甲斐として生活している、港にはそういう女性・年配者がたくさん息づいています。

「彼女に楽しめる仕事を取り戻してあげたい」

この想いが雫石氏のモチベーションの原点だと言います。“皆”では無く“誰か一人”を助けたい想いの方が、強いモチュベーションを持てる。これは今回、被災各地でもよく聞かれる言葉で、支援の原点のような気がします。
彼女ができる仕事、なおかつ生活再建の礎にできるものはそう多くは無いはずです。その中で“ミサンガ”という商品を探し出せたのは元々「広告」という仕事をしている雫石氏だからこそなのでしょう。「ミサンガは誰にでも作れ、かつ御守りのような側面もある。それなりにいいデザインのものが出来れば、高く売ることもできる」。彼はミサンガという商品を選んだ理由について、そう答えてくださいました。


各方面のプロが結集し、地元企業をも活性化。

浜のミサンガ・環」のポスター。
(写真は「三陸に仕事を!プロジェクト」サイトより)


商品決定後の動きも早く、プロのデザイナーがデザイン、マーケティング・広告のプロが広報・販売を手がけ、放送のプロがCMを流す。このように各部にプロによる無償の支援があり、“仕事”としてのクオリティも非常に高くなっております。

“商品”の中にもストーリーを思い巡らせ、素材を現地で探したり、その加工も設備の被災した工場を利用。結果として工場の従業員にも収入が入り、工場の再建までの間同じ顔ぶれのまま作業ができる。配送では地元の流通も活性化することも出来ている。被災者では無く被災地、支援では無く復興。こういった視野はなかなか持てないものです。

また、一人で内職のように作業するのではなく、各所で集まり、話をしながら皆で作業を進める。あたかも女性が漁師の取ってきた魚を皆で加工したり仕分けするという港町本来の姿とオーバーラップされ、元々の地域の姿を取り戻したかのようです。

ここまでの姿を浮かべながらプロジェクトを進めるのは並大抵の事では無かったでしょう。その「想い」の原点でもある“お婆ちゃん”はポスターにも笑顔で写っています。

「生活を立て直そう」と、前を向かせてくれる仕事。

初めは「私には難しい」と感じていたと言う女性も、
今では山田町でトップの作り手に。

各所のコミュニティを壊すこと無く、新たな人間関係・産業まで作りながら、またコストまで考えながら進んでいるこのプロジェクトは、将来的には女性が地域経済を先導していくモデルを作り上げて行くことをさえ示唆しています。

インタビューをさせていただいた女性(60代)も「最初は難しかったけど続けて良かった」と笑顔で語ってくれました。「何かしていると辛い気持ちを忘れる事が出来る。ここに来ると皆が集まって話も出来る。」当初はその想いだけで続けていけたようです。

それが収入と結びついていくことで「頑張って生活を立て直そう」という想いに変わって来た。ゆくゆくは自分たちが町を立て直している思いとともにその笑顔はいっそう輝いていくでしょう。

作り手には“安定した収入”、買い手には“支援の実感”を。

このプロジェクトの中に注目したい点があります。まず、各作業の対価等が“被災者の収入”を軸に考えられている点です。見逃されがちですが被災者もいずれは何の支援も無い生活に以降していきます。その際安定した収入があることは、心強い支えとなっていくでしょう。一時的な雇用を確保するというCFWの考えとは少し違いますが、今回の災害に関しては復興までの期間が非常に長いことや元々の産業の復旧見通しがたたないことなど考えれば、ある程度の収入レベル、継続性は必要なことです。

また、商品に関わる金銭の内訳を全て公表している点にも注目です。これにより購入者は自分の代金がどのくらい被災者の手に渡っているかを知ることが出来ます。それにより支援の実感も湧いてくるし、商品に一層愛着を持っていただける事でしょう。

これは通常、一般の仕事においても見習う点が非常に大きいと想います。福島のCFW等にしても、企業側がここまでの公表をすれば、世間・行政の理解とより熱い支援を受け取れるのでは無いでしょうか。 

CFWから産業へ。先々の展開まで視野に入れて。

CFW-Japanの調査で各地をまわっていろいろなプロジェクトを拝見していますが、「浜のミサンガ・環」は完成度としては最高です。

前記したようにテレビでのCM、ホームページの出来もすばらしく、ゆくゆくは地域の名産品としても取り上げられるような、CFWから産業としての流れも既に出来ています。
また、次なる商品も既に模索中とのことで、ゆくゆくは被災地全般も視野に入っているようです。
現在は各所からプロの手で無償支援が入っておりますが、これもゆくゆくは対価を払い、一般の産業として成り立たせることが出来ていくでしょう。

最後になりますが今回の貴重な体験をさせていただいた関西大学の永松先生、CFW-Japanのメンバーに感謝申し上げます。

 

この活動への
ご協力はこちら

こちらの団体/活動への支援、ご協力、ご連絡は、下記より直接お問い合わせくださいますようお願いいたします。

浜のミサンガ・環
http://www.sanriku-shigoto-project.com/
 

キャッシュ・フォー・ワークの事例レポートを募集しています!

CFW-Japanでは、被災地ですでに行われている、もしくはこれから始めようとしている「しごとづくり」の事例やアイディアを集めています。
みなさまの取り組みを、ぜひ私たちにご紹介ください。

連絡先はこちら

 
 

sidebar-ご協力お願いします

おしごと中、失礼します! プロジェクト

レポートブログ ふるさと応援隊!!

sidebar-tweeter fb banner

協力団体・企業

Cash for Work-Japanのウェブサイトは、以下の組織・企業の協力で運営しています。

  • 関西大学
  • 株式会社日本SPセンター
  • 株式会社コンセント
  • 201203291128_2.gif

Cash for Work-Japanメンバー

協賛・連携サイト

  • ふんばろう東日本 支援プロジェクト