レポート・現地情報

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岩手県の「まけないぞう」
1本のタオルから生まれる“しごと”。

避難所解散後のコミュニティづくりを支える

 2011年3月末から始まった東日本でのまけないぞう作り。取材に伺ったのは、震災から約半年が過ぎた9月6日。当初は避難所にいた作り手の多くは仮設住宅に入居され、そこで「まけないぞう」作りを続けていらっしゃいます。
 今回伺ったのは、そんな作り手の一人であるMさんが暮らす仮設住宅。「まけないぞう」主催団体被災地NGO恊働センターのスタッフ増島智子さんの案内で、作業風景を見学させていただきました。
 6畳ほどの部屋にお邪魔すると、テーブルの上や段ボールの中、さらには窓際の洗濯物干しスペースにまで、新品のタオルや完成したぞうさんがいっぱい。そこには小さな「まけないぞう工房」ができていました。
 出迎えてくださったのは、Mさんとご友人のKさん、そして作り方を指導する先生。みなさん楽しくおしゃべりしながら、作業に励んでおられました。「避難所が解散しても、こうしてぞうさんでつながっていられる」とKさん。
 東日本大震災においては、抽選で入居者を決めたがために地域コミュニティが崩壊した仮設住宅もあると言います。そんな中で「まけないぞう」は、コミュニティを守るという重要な役目も担っているようです。
 

タオルに込められた支援者と作り手の思い

右から、この仮設住宅にお住まいのMさん、
ご友人のKさん。 一番左は作り方を教えてくれる先生。

「まけないぞう」はネット・電話・FAX・ハガキで注文でき、価格は1つ400円。そのうち100円が作り手の収入に。そして残り300円から材料費・送料の実費を除いた額から50円を「まけないぞう基金」とし、さらなる被災地支援のために活かされています。「特に、暮らしの再建に欠かせない仕事づくりの取り組みに力を入れています」と増島さん。
 
原材料となる新品のタオルは「一本のタオル運動」として、「まけないぞう」に賛同する全国の支援者から届くもの。また、救援物資の中でもタオルは余ることが多く、それらも利用しているそうです。
 
「タオルに限らず、今回は本当にいっぱい支援をいただいて…。ありがとうって気持ちで作っているんです」とMさん。そうして思いを込めて作ったぞうさんは「自分の子どもみたいで、可愛くて仕方がない」と笑顔でおっしゃいます。



夢中になれることがある。それ自体が大きな支えに

 お話を伺っている間も手を休めることなく、
「まけないぞう」作りに夢中のMさん。  

 Mさんにとって「まけないぞう」作りは、毎日の楽しみのひとつ。朝、ご主人が仕事に出かけた瞬間から針と糸を取り出します。「この辺りでは、朝、夫が出かける前に縫物をするのは縁起が悪いと言われているんです。だから早く出て行かないかなぁって、毎朝そわそわしちゃって(笑)」。お話を伺っている間も手を休めることがないMさん。「こうして手を動かしている間は、何も考えなくてすむから」。
 
“何も考えなくていい”というのは、逆に言うと“何かしていないと考え事をしてしまう”ということ。同じようなことを「刺し子プロジェクト」の取材時にも聞きました。避難所や仮設住宅では何もしない時間が長く、どうしてもつらいことを考えがちになるようです。
 
それはKさんも同じでした。「避難所にいる時は、本当に何もすることがなくて。ボーッとしているとどうしても色々考えてしまうんです」。今回の震災でお孫さんを亡くされたKさん。じっとしていると、どうしてもつらいことばかり考えてしまうとおっしゃいます。そんなとき増島さんに「ぞうさん作らない」と声をかけられ、救われたそうです。「こうして手を動かしている間は、色んなことを忘れられる。気持ちが軽くなるんです。ほんとうにこのぞうさんがあったお陰で助かったと思っているんです」。Kさんは涙をこらえながら、ギュッとぞうさんを握りしめ、そう話してくださいました。



買ってくれる人がいるから、やりがいが生まれる。

ギュッとぞうさんを握りしめて
「これのお陰で助かった」とKさん。

 MさんやKさんは、家事の合間を見ながら作業をするので、1日にできるのは5体ほど。多い方で1日100体作るという場合もあるそうですが、それだけで生活を支えるというのは少し難しいかもしれません。けれど心の支えとしての意味合いはとても大きいように感じました。避難所や仮設住宅での単調な日々の中で、没頭できることがあるというのは、とても重要なこと。
 
「作りすぎかな…」と完成した「まけないぞう」を見てつぶやいたMさん。「そんなことないよ。いっぱい注文来ていて、生産が間に合わないぐらいだよ」という増島さんの言葉に「そうなの?頑張んないとね」と、驚きながらも嬉しそうににっこり。
 
没頭できるのであれば“趣味”でもいいのかもしれません。ただ、最後に見せてくださったMさんの笑顔は“自分が作ったものを買ってくれる人がいる”ということの大切さを物語っているように感じました。それは“趣味”ではなく“しごと”だからこそ生まれるやりがいなのではないでしょうか。

 

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