レポート・現地情報

おしごと中、失礼します!

<松長近隣公園仮設住宅「おみせ屋さん」>
気持ちを切り替えて、「被災者」ではない頑張りで前向きに生きる


仮設住宅タウンの駐車場わきに設置された「おみせやさん」。

―被災してからここにたどり着くまでの顛末をお聞かせください

大熊町でお酒を提供する飲食店をやっていましたが、3月12日の朝4時ごろ、突然40台ほどのバスが来て、それに町民が分乗して三春や船引などバラバラに避難しました。私たちは常葉町へ、そして4月に猫魔ホテル、と転々として最後に若松に落ち着きました。急だったので身の回りの物しか持たなかったし、途中、主人が体を壊したりと、大変でした。

―この仕事いつから

オープンは10月17日ですが、私は女性部の部長もしているので、7月ごろに商工会から話をいただいていました。
このお店は町長が、家に閉じこもる人が出ないように、そしてみんながコミュニケーションを取りやすいようにと発案して、商工会が中心になって作ったのです。


店内には住民同士のコミュニケーションのために、談話スペースも設けられて
いる。店から談話室を望んだところ。


―楽しそうですね

お店の管理はともかく、会話や気配りは、飲食業の経験を活かせるし、話しているのは楽しいですよ。
品物は商工会の洋服屋さんが衣類を、電気屋さんが電球を、というふうに仕入れています。



―店を始めてから変化はありましたか

自分のことより、来店するお客様に笑顔が出てきたのがうれしいですね。最初のころはみんな笑わなかったんですけど、それが一番よかったと思います。

―大変ではないですか

やりがいがあって楽しいですよ。食品などの仕入れは手探りで始めたので、難しいですが、やればやったなりのプラスはあるので。
毎日7時半ごろに、市内の中央市場で仕入れをします。少量ずつしか仕入れられないので単価が高いのがつらいですが。スーパーよりは高いけれど、コンビニよりは安く、と思っています。


「コンビニより安く」を意識したデイリーフーズの棚。肉や魚、乳製品が充実。

―それは大変です。店内のシフトなども山本さんが決めるのですか

商工会長がこの店の社長なんですが、災害復興の委員で忙しいし、まあ、今はみんなが社長です。
1週間のシフトを決めて、8時半から5時半の時間で働いています。社員がみんな出身業種が違うので難しいところもありますが、そこは月1回のミーティングですり合わせて…。
う~ん、案外自分でも大変だとは感じていないかも、楽しんでやっているし。
いつものお客さんが見えないときは訪問、声掛けもしますよ。何しろ張り合いは出る。
未経験の仕事内容が多いので、一つ一つ考えながらこなしています。


みなさんと打ち合わせ中。出身業種もバラバラで、探り探りの毎日。
「今はみんなが社長です」。


―仕事をしていない人にアドバイスはありますか

私も最初のころは何も考えられない状態が続きました。誰のせいだとか…。でも、もういいのでは、と思います。
いつまでも、お世話になる、助けてもらう、と思わず、自活することが必要です。「避難者だから」という気持ちは捨てる、そういう切り替えが必要でしょう。

補償を当てにしてもしかたない。私も40年分のものが一瞬ですべてなくなったのはキツいけれど、
先のことを考えて自分で何とかしようと。
女性部も1年活動休止していましたが、がんばって再開します。

仕事はあると思うんです、えり好みさえしなければ。少しずつ体を慣らして、どんな仕事でもいいから、焦らず少しずつやってください。「避難者」じゃなくてがんばれ、と言いたいです。
 

「避難者だから、という気持ちは捨てる」と語る、仕事中の山本さん。

―将来のことは考えていますか

国や県がいろいろ言うが、もうあの町には帰れないと思うんです。仮に帰ったとしても店も人もなければ生活できない。
だから、どこかに新しい大熊町を作るのか、それとも大熊町という町は消え去るのか、町の方針をしっかり見極めたい、見極めてから先のことを考えようと思っています。
 


つらい現実にも逃げず、しっかりと前を見つめて、仮設の皆さんを励ましながら生きる山本さんの姿勢に、こちらが元気をもらった取材でした。

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