レポート・現地情報

おしごと中、失礼します!

<白河駅放置自転車監視員>
ふるさとにいつか帰れる望みをつないで、白河の街の秩序をまもる

―地震の時、佐藤さんはどちらにいらっしゃいましたか

浪江町に住んでいましたが、3月12日の朝、突然防災無線で津島小学校まで避難しろと。それからあちこち転々としたあと、表郷に嫁いでいた姉のところに2か月ほどお世話になりました。でも、姉に相当な負担をかけることになったので、5月に両親と3人で白河総合運動公園の仮設に入居したのです。
その後、仮設の4.5畳の2部屋に3人ではさすがに狭いので、10月に私が、市営アパートの借上げ住宅に入居しました。この仕事も10月から始めたんです。


 趣のある駅舎の奥に自転車駐車場の建物がある。

―以前のお仕事はどんなことをしていたのですか

原発や火力発電所の配管などの設計を主にやっていました。現場に出て調査したり、CADで図面を書いたり、です。

―今のお仕事はどういう流れでしょう

白河駅には有料の自転車置き場があるんですが、電車の時間に間に合わないときなどに、自転車を歩道に置きっぱなしにする人がいるんです。それを防ぐために、歩道に立って見回る仕事です。放置自転車は、歩く人の邪魔になるし、点字ブロックの上に止められるのも困りますから。
早番は7時から午後4時、遅番は9時から午後6時、もう一人のスタッフと交代しながらやっています。新白河駅にも白河市が管理する駐車場があるので、そちらに行くこともあります。


放置禁止・規制区域を説明していただいた。

―働いている手ごたえはありますか

以前は20台ぐらいの放置自転車があったんですが、この仕事を始めてからはゼロか、あっても1台ぐらいになりました。
中には怖い人もいますが、ごくろうさんと声をかけてくれる人もいるので、そんな時はうれしいですね。仕事のおかげで、これから先への不安がまぎれるのもいいことです。


駅の右手にある歩道は地下で線路を横切っているため、ラッシュ時には
通行量も多い。

―まだ仕事に就いていない方にアドバイスはありますか

う~ん、でも、これから住む場所がはっきりしないと、仕事にも就けない、という意見もききますからね。むしろ働いている私が特殊なほうかもしれないと思います。
浪江町は東西に細長い町で、海辺は放射線量が少ないんですが、私の住む内陸部は多い。多いところは国が買い上げる、という話がある一方で、大臣が「除染する」とかいう。いったいどちらなのかわかりません。

―他にも迷っている方は多いのでしょうか

私の友人に腕のいい整備工がいます。とても優秀なので、今勤めている会社側は正社員として雇いたい、でも本人は町に帰りたいという意思があるのでアルバイトのままです。
実は私がこの仕事に就いたのも、短期間だから、というのが最初はあったんです。

―まだ先が見えない、ということですか

だんだん補償や失業保険が切れる時期だし、収入がなくなる、でも仕事は決められない、というジレンマです。
町側はみんなで戻ると言っています。でも若い人は今戻っても仕事がない。第一、電気もきてないし生活できません。
それに、私の住んでいた家は地震で瓦が落ちて雨漏りがひどい。でもそのまま避難したから、天井が腐って落ちてしまいました。その後、東電がシートをかけてくれましたが、手遅れでした。
まあ、お金もありませんから、土地も買えないし、新しい町を作るといってもそこへはいけないでしょうね。


自転車駐車場の前で、まっすぐに立つ佐藤さん。
まじめな性格がわかる。


―今後、どこかで災害があったらどうしますか

当初は、仮設で生活するのにも、東電からの見舞金だけでした。補償をもらえばいいじゃないかといわれても、申請書を書いてからずっと待たなければいけないわけで。今日あした食べるもの、着るものにも困っていたんです。そんなとき、ボランティアの方の支援や義捐金でずいぶん助けられました。もし次にチャンスがあるなら、今度は自分が困っている人を助けてあげたいと思いますね。

―ご自身のこれからの展望をお聞かせください

3月末には国や町でいろいろと動きがあります。除染か、土地の買い上げか、それとも何か別の策か。そういうことが決まってから考えたいと思います。迷いもたくさんあります。町に戻っても仕事がない、こちらで就職すれば帰れない。どうしたらいいんだと。明後日には、前に住んでいた集落の集まりもあるし、みんなの話を聞いてから考えたいと思っています。



錯綜する情報に翻弄されながらも、仕事を糧に、これからの可能性をしっかり見極めていこうとする佐藤さん。4月には、より良い春を迎えられるように願って取材を終えました。

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