レポート・現地情報

おしごと中、失礼します!

<楢葉特別警戒隊>
無人の町の出入りをチェック、避難区域の守りの最前線

―柴田さんがこの仕事に就いたのはどんな経緯があったのでしょうか
仕事を始めたのは11月からです。それまで農業をしていて、町からこんな仕事があると声をかけてもらいました。農業といいましたが、実は最初千葉に避難していました。親が手術しなければならなくて、こちらではできないもので。それが7月までかかりました。

―今のお住まいは
いわき市の高久第9仮設です。ここから片道33km、朝だと40分ぐらいかな。最初は遠かったけれどすぐに慣れました。

―お仕事はどんな内容ですか
警戒なので、5時半~14時半、13時半~22時半といったようにして、3、3、2人の3班編成で3交代制です。
民家があるところを見て回ることと、線量の計測が仕事です。あらかじめ決められた地点で、午前、午後の2回計ります。


隊員が胸に付ける携帯線量計、写真では0.31μSvだが、山間部はもっと高いという。
 
―お仕事は楽しいですか
回ってくれて安心だ、と言ってもらえるとうれしいです。たまに帰ってきたとき、この詰所に顔を出してくれる人もいるし。

―逆に嫌なことは
もう朝早いのにも慣れたし、嫌なことはないですね。不審者や不審な車に出会ったときはちょっと緊張するかな。

―そういう時はどうされますか
主に声掛けをします。どこに行くんだとか、この先は通行止めだとか。その後警察に、こんな人がいたと連絡しておくんです。我々も警戒区域内までは入れないし。
あるとき、ホームレスのような人がいて、話しかけたが要領を得ない。仕方なく車に乗せて駅まで送っていったこともあります。


詰め所から数百mの地点にある通行止めのバリケード。思ったより厳重で、簡単には超えられそうもない。


―牛が歩いていると聞いたことがありますが
さすがに牛はもういない。ここらで出会うのはイノシシやタヌキ、キツネ、ヤマドリですかね。

―このお仕事をしてなにか変化はありましたか
仮に勤めがないと、妻と二人きりの暮らしだし、滅入ってしまいます。この仕事をやりだしてからは元気が出てきました。妻も一人で外出したりするようになったから、やはり元気になったようです。
ここにいると3人で話をしたり情報交換ができますしね。家にいるとろくなこと考えないですから。勤めていれば楽しいです。



地区の集会所を利用した、警戒隊の詰め所。スクールバスのバス停標識が見える。
 

―思い出に残るエピソードはありますか
あるとき不審者がいたので声をかけました。その時は何事もなかったが、4日後に警察から問い合わせが来た。驚いて聞いてみると、警察に捕まった人がいて、4日前に声をかけられたと話したそうで。
数日前も車がバリケードを越えて中に入ったまま、ということがありました。警察に監視してもらっているんですが、渡り板などを準備してきて入ったようで、まだ捕まっていないようです。


―いろいろあるんですね
いろんな人が来ます。取材もね。先日はスイスから来たとかいう人たちがいましたよ。


警戒隊の3人とパトロール車。左から、副隊長の山内茂樹さん、
柴田隊長、草野五郎さん。チームワークは抜群。



―今後のことは考えていますか
3月で一応契約が切れるのですが、来期もずっとこの仕事を続けたいですね。大事な仕事だし。春からは政府の指示で20mSv以下は規制解除される。警戒エリアがぐっと広くなります。人も必要でしょう。 一方で、家に戻ってくる人が少ないです。お金のある間は帰ってこないかもしれません。 今住んでいるところは条件がいいようで、年配の人たちの考え方も変わってきています。 近所に知り合いがたくさんいるし、検診もバスで行けるし。山の奥で一人暮らしするよりずっと居心地がいいんでしょうね。 それにいつ戻れるかもはっきりしない、町は8月までに除染完了と言っていますが、難しいですね、いろいろと。



話している間も、時折通る車を目で追う警戒隊の3人。避難している人たちの陰に、治安を守るために、こうしてがんばっている人たちがいることを実感した取材でした。

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