レポート・現地情報

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福島から全国へ、にっこり顔のクッキーを!
~福島県楢葉町の「にこまるプロジェクト」訪問記

会津美里町での避難生活の様子

安達さんによれば、3月の震災が起きた直後から,会津美里町では社会福祉協議会,教育委員会,日本赤十字 が協力しておにぎりを作るなどの被災地への物資支援を行っていました。そのうちに炊き出しでとん汁作りが2団体で重なるといったことが起きたりして,炊き 出しや理髪の調整などのコーディネートが必要になり,ボランティアセンターが立ちあがることになりました。安達さんはボランティアセンターの支援員でもあ ります。
 
会津美里町では楢葉町の住民1000人ほどを4つの避難所で受け入れていました。今は避難所も一つになり、30名ほど残っていますが、ほとんどが仮設住宅(ないし借上住宅)に移動しました。また、役所機能も会津美里町に移転されています。
楢葉町は元々、8000人ほどの人口の町です。会津美里町の他にも近隣の会津のホテルに一時500人が避難し、さらにいわき市では美里町よりも 多くの人を受け容れています。仮設住宅に移動するに際して、楢葉町の多くの人は元の町に近く、会津美里町よりも相対的に仕事探しにも適しているいわき市の 仮設住宅に入ることを希望しています。

その一方で、美里町の借上住宅に入り、にんにく作りを始めた人や2,3カ月で美里町に移住する決心をした人もいます。安達さんや外島さんの印象では、避難所や仮設住宅の人は戻りたいという思いや、どうしていいか分からないという思いがあるようです。
 
7月の時点では雇用についている人は決して多くはないといいます。実際に仮設住宅での雇用相談を定期的に開催しても参加者は少ないそうです。こ の背景には、会津美里町で提示される雇用の賃金水準が原発周辺地域と比較すると見劣りするということもあるのではないか、ということでした。

 

にこまるプロジェクトについて

会津美里町でのクッキー作りには二人の楢葉町の被災者の方が関わっています。お二人とも女性です。

「にこまるプロジェクト」は料理研究家・枝元 なほみさんと彼女が運営する農業支援団体「チームむかご」によって始められた支援活動です。枝元さんたちは震災発生直後、手作りの美味しい食材を被災地に 届ける支援プロジェクトをボランティアで行っていらっしゃいましたが、新たに被災地でクッキーを作ってもらい、それを全国に届けるプロジェクトに衣替えさ せました。「にこまる」は枝元さんが考案したクッキーの名前です。
レシピ,材料,販売ルートはすべて「チームむかご」によって賄われており,生産が会津美 里町の他にも仙台、遠野(現在は中止)、石巻(20日から)で行われています。

枝元さんたちが始められたプロジェクトは、食糧支援から仕事の提供へということで、実はこれは海外でCFWが誕生したプロセスとまったく同じ道を歩んできています。理念的にはとても共鳴する部分が強いと感じました。

枝元さん自身の説明はここで聞くことが出来ます。

 

35度を超えるキッチンで、ひとつひとつ手作り

焼き上がったクッキー。卵を使わない、
非常にシンプルで素朴な味わいでした。

生産は1日に140個。作業時間は大体10時から16時か17時くらいまでです(その間にお昼休憩)。私たちがお邪魔した時は一つのテーブルの上で、生地のカット,丸める,なかに具を入れる,模様つけなどの作業を分業してなさっていました。オーブンは1台です。スペース的にはこれ以上、ここで拡大することは難しいとのことでした。また、冷房施設が一切ないため、35度を超える高温の中で作業されています。

 

楢葉町の避難者に全国から寄せられたハガキ

生産者の手許に入るのは1袋7個入り350円の「にこまるクッキー」の30%分、105円です。生産者の皆さんは形式的には雇用ではなく、請負仕事をしているということになります。今までの生産分に支払われた額は59900円で,まだ分配せずにプールしているとのことです。楢葉町のためになることに使おうとか、ひとまず分担しようかということを今、相談しているところだそうです。もちろん,額から容易に想像できるように,生活の糧にするには足りません。現在、会津美里町でクッキーを作られている方たちの支えになっているのは、クッキーに手紙を付けたタイプを売り出していて、そのお手紙に全国から返ってくる励ましのメッセージだそうです。
 

今後の暮らしと、事業継続への課題

お二人のうちの一人は、楢葉町ではご両親と小学生のお子さんとの三世代で住まわれていました。当初、いわきの避難所に入っていらしたそうです が、3月16日に急に17時30分まで小学生とその両親はバスに乗って避難するようにとの指示があり、お年寄りは一緒に行くことを認められず、今現在は親 戚の家にいらっしゃるそうです。
 
御自身は美里町にいらっしゃる前は回転寿司でパートで働いていたそうです。職もないのでボランティアに参加されているとのことです。御主人は原 発の下請検査の監督をなさっていたそうですが、今回のことで引退され、今は失業保険をもらっているそうです。また、美里町では農業をなさろうとして、色々 な人から教えを受けたりしているとのことでした。元々、向こうでも畠を持っていたそうです。ただ、その方の友人の御主人には原発の仕事が好きな方もいて、 5,6号機だから大丈夫ということで、現在も仕事を継続しているそうです。その方の家は偶々、津波で流されなかったそうですが、一時帰宅の際に10年間は 住むのは無理だという風に感じたそうです。現在は美里町に借上住宅を借りて、この町で暮らして行こうとされています。
 
私には最後に外島さんの言葉が印象に残っています。本当に安全かということには不安もあるけれども、付き合っていくしかない、と。詳しくはお話 を伺いませんでしたが、外島さんはもともと福島のご出身で、高校を卒業してから東京で働いていたところ、思うところあって、震災後にこちらに帰って来られ たそうです。
 
今は作業所が住宅地から離れたところにあるので、ここで仕事をするために、自力でつまり車を使ってここまで移動してくることが出来るという条件 が付いていることからも、現在は相対的に余裕のある方がプロジェクトに参加していらっしゃいます。しかし、今後、事業を継続していくためには、支援という 観点からもう一歩先の、はっきりといえば、生産者がもう少しお金を稼げる仕組みを作る必要があるように思います。
 
そのためには、県の緊急雇用事業を活用するとか、地元の食材を活用したブランド化を目指すとか、楢葉町の復興に向けたストーリー性を全面に出す とか、あらゆる方法で高付加価値化を目指すことが必要だと思います。今後も枝元さんらと地元でプロジェクトの改善について議論するということですので、そ の行方に期待したいと思います。






 

この活動への
ご協力はこちら

こちらの団体/活動への支援、ご協力、ご連絡は、下記より直接お問い合わせくださいますようお願いいたします。

チームむかご
http://mukago.jp/nicomaru/
プロジェクト名:にこまるプロジェクト
プロジェクト概要:
被災地でクッキーを製造し、非被災地で販売。収益を製造者に還元します。
 

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