レポート・現地情報

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復興による岩手県の雇用創出プラン
予算約200億円。14,000人の雇用創出に向けて。  

 <県内の雇用情勢>
製造業の回復により、一部求人は増加

岩手県では震災後、「雇用対策基金」を活用した事業による雇用創出計画として約200億の予算により13,161人の雇用創出目標を打ち出しました(うち震災対応分10,000人)。産業振興施策による雇用創出目標1,370人を含め、全体で約14,000人の雇用創出を見込んでいます。

8月末時点の集計では8,377人(うち震災対応分3,739人)の新規雇用を創出しています。7月の県内の有効求人倍率は0.55倍と3ヶ月連続で上昇し、高校生新卒求人でも前年比(6/208/19)約20%増と被災3県において唯一増加となるなど、依然厳しい状況は続いているものの、一部で持ち直した動きもみられてきています。その要因としては、内陸部での自動車産業など製造業の生産回復による求人増が復旧事業の建設需要以外でもあったことが大きいと考えられます。

ただし、被災の大きかった沿岸部では、主要産業である漁業・水産加工業の多くが被災したため、再開した企業もある半面、移転する企業もあり、正社員求人が少ないなど雇用への影響は大きく出ています。
 

職業訓練や無料貸店舗の提供で、自立をサポート

県内の避難所は既に閉鎖されており、仮設住宅も必要戸数が完成し移転が進む中、今後は自立した生活が求められる時期になっています。

秋以降に懸念されている雇用保険の給付期間切れが間近に迫っているため、当面の「つなぎ雇用」として、震災対応事業での雇用創出が下記内容で実施されています。

~県内震災対応事業の事業例~

  • 普代村―普代村漁場漁港再生回復事業(雇用創出計画数:766人)
  • 釜石市―釜石タウン情報誌発行事業(雇用創出計画数:57人)
  • 大船渡市(北上市)―沿岸被災地仮設住宅運営支援事業(雇用創出計画数:81人)
  • 大槌町―仮設住宅への物資供給及び環境整備事業(雇用創出計画数:10人) 

就業支援策としては、主に沿岸部での復旧・復興事業で建設重機操作に必要な車両系建設機械等の資格取得のための「職業訓練の拡充」や長期失業者への個別支援を実施する「パーソナルサポート事業」など沿岸部を中心にした取組が実施されています。

自営業者向けには中小企業基盤整備機構が整備した仮設店舗(2年契約・賃貸料は無 料)が県内第1号として釜石市に完成しました。商店街復興の足掛かりとして地域再生、雇用創出にも繋がることが期待されています。今後、釜石市内では仮設 住宅団地そばに11カ所の仮設店舗が建設され、約230事業所が入居される予定となっています。

仮設店舗の取組についてはCFW-Japan代表 永松伸吾著『キャッシュ・フォー・ワーク』(岩波ブックレット)に“被災地で消費機会を”として提言しています。被災地域内で経済活動が行われ、店舗などで新たな雇用が創出されることは地域経済の復興に必要なことだと思います。

マッチングが、これからの課題に

 上 記のように様々な雇用対策が実施されていても“雇用のミスマッチ”と呼ばれる状況は岩手県内でも発生しています。内陸部の大手製造業求人に対して思うよう に人が集まらない、がれき処理など建設求人には正社員枠が少ない、また基金事業での「つなぎ雇用」には短期契約に対する不安などもあるようです。

 雇用情勢が徐々に改善され、様々な施策が実施される中、被災者と向かい合い、就労意識・条件のマッチングを今後高めていく必要があると思います。
 

 <復興による雇用創出プラン>
長期的視野で考える、復興と雇用

 今後の復興による雇用創出プランとしては平成23年度から30年度までの8年間にわたる「岩手県東日本大震災津波復興計画」が8月に策定されています。

「岩手県東日本大震災津波復興計画』

復興に向けた3つの原則としては、

  1. 「安全」の確保
  2. 「暮らし」の再建
  3. 「なりわい」の再生

があげられ、「暮らし」の再建には雇用創出が重要となります。

復興による雇用創出の取組として、基金事業以外にも長期的な視点で考えられた5つのプロジェクトがあります。世界に誇る新しい三陸地域の創造を目指す、「三陸創造プロジェクト」です。

  • 『国際研究交流拠点形成』プロジェクト―三陸から世界をリードする国際研究交流拠点を形成
  • さんりくエコタウン掲載』プロジェクト―環境と共生したエコタウンの実現
  • 『東日本大地震津波伝承まちづくり』プロジェクト―被災体験を次世代に継承し防災力向上
  • 『さんりく産業振興』プロジェクト―1次産業から3次産業まで広く三陸全体の産業振興
  • 『新たな交流による地域づくり』プロジェクト―三陸地域の観光振興、定住・交流の促進

上記プロジェクトの特徴である「創造性」「独自性」「長期性」などから更に新たなプロジェクトが追加されていくことで産業・雇用創出にも繋がるはずです。
 

「観光」は、復興への貴重な資源に

 また、「なりわい」の再生の一つとして「観光」があります。6月に平泉が世界遺産登録されたのを機に、世界遺産「平泉」を復興のシンボルとした平成24年4月から6月までの2ヶ月間、「いわてデスティネーションキャンペーン」(略 DCとして国内最大規模の観光キャンペーンが実施されます。DCを契機に官民一体となった交流人口拡大から観光分野以外にも商工業、農林水産業への広がりが期待でき、雇用創出に繋がることが期待されます。

上記の復興による雇用創出プランは「日本はひとつ」しごとプロジェクト フェーズ3 にも被災地の強みを活かした雇用復興を支える新たな総合対策として「地域経済・産業の再生・復興」が盛り込まれています。ただ、財源となる第3次補正予算 はこれから編成され、まだ予算規模が固まっていないため、これらの取組が遅れることが大きなネックとなっているようです。

震災の復旧・復興にかかる当面の雇用創出には、雇用確保・生活支援としての基金事業を引き続き推進していき、その上で被災地の特色を活かした農林水産業、製造業、観光業の復興を進め、長期雇用創出にも軸足を移し、実現に向け取り組んでいく事が重要になっていきます。

 

 

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