レポート・現地情報

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南相馬市でのCFWレポート

労働力不足と労働力過剰が混在

 
 南相馬市は、5月中旬に訪問した際には企業が製造拠点を他地域に代替するなどの動きがあり、雇用機会が激減していました。南相馬市を含む相双地区は絆づくり事業が順調に進んでいると聞いていたので、さぞかし失業されている方が多いのだろうと心配していました。ところが、意外な話を聞きます。
 
木村さんによれば、南相馬市では企業の経済活動の再開がすこしずつ進んでいるが、元の労働者の中には域外避難をしている人々も多く、そのため、企業にとっては労働力が確保できず、十分に再開できないということがあるようです。例えば地元に3店舗あるスーパーは、パートの不足により2店舗しか再開にこぎつけていないということです。
 
いきなり意表をつく説明。それではCFWなんてやったら、地元の労働力を余計に吸い上げてしまって、よけいに問題になりませんか、という質問に対しては、いえ、それと同時に仕事がない、という人たちも多数いるんですよ、つまり労働力不足と過剰とが両方あるんですよ、という答えが返ってきました。
 
木村さんの見方によれば、先のスーパーの事例のように、商業、サービス業分野では労働力が足りないが、市の基幹産業である機械金属加工業などについては操業率が6割から7割程度。放射性物質が付着しているのでは?という風評被害の影響も深刻であるとのこと。このため、製造拠点を海外に動かした企業もあるとのことです。実際に、この地域の有効求人倍率は0.57しかありません。福島県の絆づくり事業による求人がなければ0.4程度ぐらいに下がるのではないか、ということでしたので、南相馬市の雇用情勢が厳しいと言う状況にはやはり変わりはないようです。

 

相双地区における福島県「絆づくり応援事業」の状況

 
  そうした話をしている時に、三國所長より相双地区の絆事業について興味深いデータが示されました。それは年齢別の分布で、現時点で絆事業で雇用されている被災者302人のうち、40歳未満の労働者が2割弱、40代~50代がほぼ5割、60歳以上が3割強という分布になっています。
 
 ここから、いくつかの傾向が見て取れます。第一に半数が40歳~50歳の中高年労働者層であるということについてです。一般的にこの年代は失業した場合の再就職が難しいとされています。三國所長の説明によれば、民間企業の求人の多くは40歳未満の労働者を求めているので、絆事業は一般の労働市場とは競合せず、その意味ではうまくバランスが取れているのではないかということでした。つまり、職を必要としているが、なかなかその職を得られない層に絆事業が活用されているということです。
 
 そのことは、絆事業のCFWとしての価値を示しているとも言えますが、同時に経済復興が進んだとしても、こうした人々の再就職はそれほど容易ではないということも予想されます。単に経済復興が進むのを待つだけではなく、彼らに積極的な就労支援と恒久的な雇用創出が必要になってきます。

 

CFWは、単なる失業対策ではない


 もう一つ興味深い点は、60歳以上の高齢者が3割を占めており、最高齢は83歳だということです。ここにはすでに退職しており、生活のために必ずしも収入を必要としていない高齢者も含まれています。例えば、小学校のプールの除線作業の作業員の募集に対して、孫のためにと応募された高齢者の方もおられるとのことです。
 
 CFWをあくまで雇用をつなぐための手法だと考えると、これは必ずしも良い傾向ではありません。なぜなら、本当に収入が必要な人にCFWの受益者は限定されるべきだからです。ただ、私自身はCFWは失業対策とは異なると考えています。CFWの本質は、地域の復興に被災者自身が労働を通じて貢献することにあります。そのように考えれば、こうした高齢者が事業に参加しているというのは決して問題ではなく、むしろこうした年齢層の参加を促したということで望ましいとさえ言えます。
 
 なお、福島県の絆づくり事業については、木村氏は高く評価をしていました。雇用事務や労務管理をワールドインテックがすべて実施してくれ、自分たちは本来の業務に専念できるというのがその大きな理由です。
 
 また自分たちは絆事業を雇用のための雇用にするつもりはないと、木村さんは力説します。そのために、庁内で必要な事業と労働力を公募し、現場で本当に必要とされるしごとを事業化しているそうです。但し、被災者にとって必要とされるしごとの中には、かならずしも所管する部局が明確なものばかりではなく、それらをどこが担当するかを巡って庁内の調整に苦労するケースもあったようです。

 

みなみそうまさいがいFMでの雇用

 
  その後、実際に絆事業で雇用されているみなみそうまさいがいFMの放送局(市役所最上階)に訪問しました。このとき、放送機器の操作担当と取材担当と2名の方が放送局におられ、生放送前に部屋の片付けなどを行っている最中でした。

 

今野吉喜さん(写真左端)は、もともと機械メーカーに勤務しており、地震前にすでに退職しておられました。震災後ボランティアとして、機械の操作技術を活かし災害FMのたちあげにボランティアとして関わっていたところ、この7月より絆事業として雇用されたということです。
 
今野聡さん(左から二番目)は、もともと農業を行っていたそうですが、放射線による風評被害などもあり、農業再開の見通しが立たないこともあって、完全な失業状態だったと言います。農業で食っていくのは厳しいけれども、かといって年齢的に再就職も難しいので、機械操作は経験がないけれども、、、と思いながら災害FMに応募したところ、取材担当として採用されたと言うことです。
 
両名とも、このしごとにやりがいを感じていることは、その話しぶりからも感じ取ることができました。同時に、自分たちの放送はどれぐらい聞いてもらえているのだろうか、聴取率のアップのためにどうしたら良いか、ということも考えているとのことでした。

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